
植民地期の朝鮮農村における医療⑵
여러분 안녕하세요. みなさんこんにちは。
アンナです。
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今回は、衛生・医療事業に関する論文を紹介した前回の続きとなります。
前回の記事はこちらから。
植民地期の朝鮮農村における医療⑴
伝染病予防の対策を行った総督府
総督府は、支配民族の生命を脅かし、かつ被支配民族社会を不安に陥れる伝染病対策を実施するため、1915年「伝染病予防令」を制定しました。
防疫事業を朝鮮全域で展開しようとしました。
早期発見が重要な課題であったため、警察官が単独あるいは検疫医に同行して「検病的戸口調査」を実施しました。
農村においては、伝染病の防疫と治療に関して医療機関が担った役割が限定的であったため、この調査自体が、近代的医療技術の観点にもとづく診療行為でした。
また、警察官や地方官吏の指示によって綿密な清掃や消毒が実施されていたため、近代的医学に関する知識や技術と接する機会となっていたと考えられます。
衛生に関する啓発
⑴地方行政機関による事業
道地方費衛生費に毎年「衛生思想普及費」が計上され、
伝染病予防・防疫活動の奨励および近代的医療機関利用の慫慂(しょうよう・そうするようにしきりに勧めること)を目的としていました。
特徴としては以下の3点です。
・警察署主催の事業が多かった。
・都市部において重点的に開催されていたものの、巡回開催のものもあり農村部を中心に開催されているものもあった。
・「恐怖と好奇の視覚メディア」としての機能を担った一種の娯楽性を有した展示が、衛生展覧会で行われていました。
⑵民間団体による事業
青年団体主催などの民間団体による事業が行われていたのですが、都市部において活発に展開していた一方、
農村・農民を直接対象とした活動の存在も多少確認され、農村部においてもかなりの広がりを見せたようです。
衛生事業をきっかけとした農村の組織化
衛生に対する意識は一過的なものに留まってしまう可能性が高いため、恒常的な衛生事業として村落レベルでの組織化を目指しました。
村落では独自に、疫病予防のための改良井戸の普及事業が進んだのですが、資金・資材や労働力は村落内部で調達しなければなりませんでした。
このとき衛生知識を普及することで
・自分への伝染を予防し(村落における「個人」レベルでの日常生活の「規律化」を促し)
・また発生源を排除するための事業への積極参加(有志としての役割)
という動機を村落の上層農民に与え、共同井戸の改良事業への資金提供に成功したのです。
つまり「規律化」を無意識の強制ではなく、個人レベルでの内省的な自己啓発、または人間関係を契機とする相互の啓発という形にすることによって、
朝鮮農村住民に向けた衛生事業を効率的に推進していくことができたのだと研究者はまとめています。
論文*
松本武祝, 「植民地期朝鮮農村における衛生・医療事業の展開」, 『商経論叢』34(4), 神奈川大学, 1999.