(記事翻訳)韓国大衆文化コンテンツのグローバル受容:第一弾
여러분 안녕하세요. みなさんこんにちは。
アンナです。
今日も訪問ありがとうございます!
すっかり久しぶりの記事更新となってしまいましたが、今回、ぜひ日本の皆さんに共有したい内容の記事を見つけたので、翻訳練習の目的で‼︎、紹介したいと思います。
内容は、近年の韓国文化のグローバルな流行について。
私は必ずしもKコンテンツのファンではないので(なんなら韓国留学を経て日本コンテンツが好きになった)、「別にファンではない!」という方にも読んでいただきたい。問題意識を与えるきっかけになるかと思います。
今回取り上げるのは、韓流研究者として知られるホン·ソクギョン教授へのインタビュー記事です。ホン教授は、フランス・ボルドー大学在職中に韓流研究を始め、13年からソウル大学言論情報学科で教鞭をとっており、BTSの現状を学術的に研究、「BTS オン・ザ・ロード(原題:BTS 길 위에서 )」を出版されています。

原文:SBSニュースの「[取材ファイル]イカゲーム – Netflixが韓国を利用するのか?([취재파일] 오징어 게임 – 넷플릭스가 한국을 이용하는가?)
原文リンク : https://news.sbs.co.kr/news/endPage.do?news_id=N1006524912&plink=COPYPASTE&cooper=SBSNEWSEND
Q.韓流研究者として、最近とても忙しくなったのではないですか?
A.はい。最近、国内外からインタビューの依頼が多くなりました。日本でも若干保守的な40代、50代の男性ビジネスマンが読む雑誌、そういったところがインタビューしたいというんです。そういうインタビューは受けます。なぜなら、それが核心なんです。以前は40、50代の女性が涙を流しながら見ていた「冬のソナタ」ドラマが韓流でしたが、今は変わったのです。だから気になるんですよ、なぜなのか。とにかく最近、仕事が多くて忙しくなったのは事実です。
学校でも指導しなければならない大学院以上の学生が多いです。韓国文化産業がうまくいって、研究距離が多くなりました。嬉しい悲鳴です。
Q.韓流の研究を始めた頃は、このような日が来ることを予想していましたか?
A.韓流の研究を始めた時、私はフランスにいました。韓流は2000年代初めに東アジアで起きた現象でしたが、その時フランスにいたので外から韓流現象を見ていたわけです。当時韓国を行き来しながら学会の討論、発表もしましたが、私が韓国にいなかったので観察者の立場にいました。
私が研究を始めたきっかけがあります。 フランス・ボルドー大学にいた時、学生たちが韓国文化のサークルをしていたのですが、私はこれを留学生が主軸となったサークルだと思いました。昔、私達の上の世代のアメリカ人留学生達が、韓国が懐かしくて一緒に集まって韓国ドラマを見ていたように。でも違いました。韓国の学生は一人もいなくて、みんなフランスの学生でした。だからといってボルドー大学はパリやマルセイユ大学のように多文化的な所でもありません。だから興味が湧きました。
この学生たちが集まって何をしているのかというと、韓国ドラマを見ていました。それで、私も学生たちをインタビューして、ドラマを2009年か2010年頃から見始めました。韓国を離れて見られなかったドラマ、2000年からそれまで積みあげてきたものを見て本当に驚きました。韓国ドラマの質的成長が見えたからです。そして本当にグローバル文化の流通。媒介者が必要ない自発的受容、言語の障壁を何の問題もなく乗り越える自発的翻訳、字幕(subtitle)と言いますよね、そういった組織化された文化、ファンダムがあることを確認したわけです。それで、その韓国ドラマを見るフランスのファンサークルに入って、このような環境がどう生まれたのか、どうして韓国ドラマを見るのか、3年ぐらい観察して対話して研究しました。
メディアから見た韓流の変遷
ここで韓流の流れの話に移りますが、私はその時、韓国ドラマは東アジアを越えて全世界で見られる内容でしたし、質的にもよく作られていたので、これからもっと大きくなるものと思いました。実は、韓国が一番競争力をもっているのがロマンチックコメディです。だから、男女がラブラブ恋愛するんですけど、それは本当にいつも似た話だけど毎回面白いじゃないですか。それは制作能力があって、演技もうまいということです。
最近、韓国ドラマの中で、全世界で人気を集めたのは「キングダム」や「イカゲーム」のようなものでしたが、それはグローバルOTT・Netflixが介入したもので、私たちがこれまで力を入れてきたジャンルではありません。韓流はその概念自体が、韓国の外で韓国大衆文化の人気を指す言葉じゃないですか。だから韓国の中では人気があるけど韓流ではないものもたくさんあります。私たちが間違って歌うことがありますが、韓国の大衆文化がなければ韓流もありませんが、「韓国の大衆文化=韓流」ではありません。韓国大衆文化の制作能力が高くなっていたので、私たちにチャンスが訪れた時「キングダム」も「イカゲーム」も「ミスターサンシャイン」も作ることができたのではないですか。だからこの発展と韓流はある意味、平行するもので、お互い影響を及ぼしますが、必ずしも同じではありませんでした。
韓流の流れを見ると、初期の韓流は東アジアで他国の放送局が韓国の番組の放送権を買って、自国の地上波や衛星放送で放映してその国で人気を得た現象です。放送局という制度的な「仲裁者」が存在した現象です。そしてその時も私たちは驚きました。なぜなら、私たちは一度も韓国のプログラムを輸出用に作ったことがないからです。国内用だったのに輸出もしたい、と思って外国に出ることになったのであって、韓国が日本や中国に納品しようと思って作ったことは一度もありません。韓流は外国から聞こえる嬉しいニュース、海外のニュースとして私たちに初めて届いたじゃないですか?それが韓流の第1段階です。
第2段階の韓流は、私がフランスで観察したものです。すでにその時から徐々に全世界のインターネットの速度が速くなり、インターネット網が拡張するのとほぼ同じ速度で国境なしにコンテンツが受容され、伝播できる環境が作られましたが、韓国の番組には競争力があったのです。それで、外国ではそれを自発的に受け入れるようになったんです。
この過程を私が研究を通じて複雑に説明してきましたが、実は日本大衆文化の影響もあります。なぜなら、日本の漫画がとてもグローバルなジャンルで、漫画を原作に多くのドラマを日本で作って、そのドラマサイトの中に韓国のドラマもありました。それで日本のドラマを見ていた人たちが韓国ドラマを見て、韓国がドラマをもっと面白く作ると思った人たちが韓国ドラマを見続けるようになったのです。
実際、韓国ドラマのラブラブな話を、ヨーロッパでも本当に見なさそうなフランスやドイツの人々が見るというのはちょっと理解できないじゃないですか。イタリアやスペインの人々が見るならともかく。私はその時ちょうどフランスにいたので、なぜフランス人が韓国ドラマを見るのかという疑問を持って研究し、韓国コンテンツがうまくいくだろうということを十分理解しました。
そして、第3段階に来ました。K POPは、BTSが先頭に立った道です。K POPが最近グローバルな人気を博していますが、これはある意味「江南スタイル」以降です。それ以前にも東アジアで大変な人気を博した「東方神起」などのグループがありましたが、そのときは主な活動領域が東アジアでした。ところで「江南スタイル」が SNSの力を見せました。外国人には分からない韓国語で歌うこの歌が、全世界で人気を集めたのです。正直「江南スタイル」はK POPの典型的な姿ではありません。全世界の人々が想像する、ただの「東アジアの男性」と言えるそんなスターが出てくる、なんというか、とても面白いビデオでした。この「江南スタイル」は、私たちに世界に出て行く方法、メディア環境について教えてくれたのです。
すでにK POPコンテンツは成長できるだけ成長して、東アジア市場で私たちが非常に大きな影響力を持っていたではないですか?その状態だったのですが、BTSがグローバルカルチャーに進出できる道を先に歩んだのです。ちろん、映画の道は、また別にあります。 世界中の映画祭とか、劇場配給を通す道がありましたが、私たちがグローバルOTTというNetflix、今はディズニーやアマゾンの他のOTTも来ますが、これが全世界に韓国の番組を定期的に納品できる道を切り拓いてくれたんです。K POPでBTSがやっていたことをドラマや映画でNetflixがやっているといえます。この段階は先ほどお話した第1段階、第2段階とは違うと思います。グローバル大衆文化の一部として韓国文化がいま伝播され、受け入れられているといえます。
私はコミュニケーション学者なので韓流の流れを出来事中心に見るよりは、メディア環境がどうやってこれを構造化したのか。どんな大きな絵を変えたのか、そんな面から見ます。アジアで仲裁者(放送局)がいた時代の韓流が第1段階、そして全世界で自発的なファンを中心に受け入れられた韓流が第2段階、これは今も積極的に行われています。すでに、BTSやNetflixという、韓国の大衆文化をグローバル大衆文化へと導く大きなモーターがありますが、ほかのところでは第2段階の韓流が今も行われています。 Netflixを全世界が全部見るわけでもないんです。しかし、全体の脈絡を見た時、第2段階で成した大きな下部構造、草の根の変化、これが維持されながら、韓流の第3段階、グローバル大衆文化の中に我々が入っていく最中なのです。
どうして韓国なのか?
Q.Netflixは韓流の伝播に大きな役割を果たしましたが、実は韓国だけでなく、ほかの国、たとえば日本や中国のような国もあるじゃないですか。なぜこのような環境で韓国文化が特にうまくいっているのでしょうか。
A.いろいろな理由があるかもしれませんが、メディア市場の側面から見れば、理解しやすいと思います。Netflixは今、北米や欧州では市場が飽和状態です。米国では他の強力な後発ランナーも出て競争しなければならないから、むしろ市場を失います。それでNetflixがどこで市場を拡大できるかを見ると、南米やアフリカはもう少し待たなければならず、莫大な中産層の人口が拡大するアジアが最大の戦場です。この戦場で韓国が強者なんです。アジアで最も強力なローカル文化産業のリーダーが韓国人なんです。ですからNetflixの戦略上、韓国がとても重要になりました。
Netflixで赤いNをつけた「Netflixオリジナル」が ローカルプロダクションを活用するじゃないですか。ここで韓国が非常に重要なパートナーになるしかない状況ですね。Netflixが私たちを、私たちの番組が好きなので選んだというよりは、すでに市場構造がそういう状態なので、韓国のものを活用しているのです。 ところが、韓国が想像以上に、アジアだけでなく世界に通じるコンテンツをうまく作り出しているのです。
「イカゲーム」のようなものを作るとは思いませんでした。「キングダム」が出た時もすごく驚いたし、世界で売られているゾンビジャンルは、以前は主に西欧で作られていたのに、朝鮮のゾンビが可能なんだ、なぜならすでに「釜山行き」のゾンビを見たんですよ。そんな、とても「ジャンル化」されたプログラムを韓国がよく作っているんですよ。今の「イカゲーム」も「人間レッスン」「Sweet Home -俺と世界の絶望-」。パンデミック期間中に流行った「#生きている」などはゾンビジャンル、あるいはノワールジャンル、アクションものなどを今はよく消化していますよね。
韓国産ロマンスは西欧も通じるか
でも興味深く感じた事があります。世界中で「イカゲーム」をみんな見ましたが、長く1位を享受しているのは西欧と北米で、その1位の座を奪うのが「海町チャチャチャ」でした。アジアではジャンルものよりは、相変らず私たちが第1世代で確認してきたそんな感受性、ロマンスだけでなく、もっと人間的な他の接近、いわゆる東アジアの感受性が確かに作動しています。だからといって「イカゲーム」を見ないわけではないけれど、一緒に見るんです。
私は今、韓国がとても上手に作るロマンスものが、北米や欧州など他のところで、いつ、多くの視聴者を得て人気を集めることができるのか、それを興味深く見ています。おそらく一朝一夕にできるのではなく、少しずつ広げていくつもりですが、ロマンスプログラムが重要な理由は、何と言うか、人種やジェンダーレベルでアジアが今よりはるかに力が強くなってこそ可能なことだからです。多くの人々が自分の感情を投射できる人物を生産できるようにならなければならないじゃないですか。
私たちがハリウッド映画を見ながら、女性は男性に、男性は女性にアピールができるということは、それだけ支配的な人種のイメージだとか、想像力、感受性を生産するということなのですが、今の私たちもアジアでは可能なんです。韓国のロマンスドラマは東アジアを超え、東ヨーロッパや中東、インドなどでも徐々に人気が高まっています。まだ私たちが「西欧」と呼ぶ場所ではそんな気配はありませんが、研究してみるとファンがいるのは事実です。たくさん見ています。(Q.だから西欧でも韓国男性がかっこいい、韓国女性がきれい、このように魅力を感じてこそ没入できる、そんなジャンルだということですか?)やっぱりそうですね。ストーリーも魅力がなければなりませんが、人物の魅力が非常に重要なのがロマンチックコメディです。ハリウッドのどのスターたちがどんなロマンスでスターダムにのし上がっていったのか、見れば分かりますよね。
誰が誰を利用するのか
Q.私たちが競争力を持ってプログラムを上手く作ったりもして、アジア市場ではすでに強者だったのにグローバルプラットフォームにもぴったり乗り込んでいったんですね。
A.はい、実は誰が誰を利用するのか分かりません。来年4月にカンファレンスをするんですが、タイトルが「Netflixが韓流に乗っかったのか、それともその逆か」(「Is Netflix riding the Korean wave, or vice versa?」)です。
実際、韓国内ではNetflixに利用されると心配する方も多いですよね。韓国内では制作費だけが上がって、私たちがお金を稼ぐのではなく、Netflixに全部奪われるということなのですが、それはこれから改善する余地があると思います。Netflix以外のOTTが入ってきた時、今は成功しているので以前のような条件で契約してはいけません。はるかに私たちに有利な契約をし、放送権を完全に売らずに再活用できるようにしなければなりません。 それこそ知的財産権をどのような戦略を活用するのかしっかり考えなければなりません。
私が言いたいのが、グローバルOTTにとっては過去の韓国番組も今のと同じだということです。
(記者:そうです。彼らにとってはすべて新しいことです)はい、私たちが新しいことだけを考えるのではなく、これまで積んできたプログラムをどのように活用するかについても悩む必要があります。すでに、私たちには東アジア市場で検証された多くのプログラムがあるじゃないですか。外国の視聴者たちにインタビューしてみると、例えば、ブラジル人が2011年に出たドラマをいま見て感動していて、最高の韓国ドラマだといいます。これを私たちがうまく活用しなければなりません。知的財産権の放送権を安くせずに、放送権を一部売買する形式やリメイク形式にすることもでき、OTTを作って他のグローバルOTTと提携事業をしたり、様々な創意的なアプローチをする必要があります。
すでにこの状況で危険だと言うのは正解ではないと思います。「イカゲーム」の成功が、私たちがこれだけ出来るということを全世界に証明したじゃないですか。 これからは「私たちにいい提案を一度してみて、私たちが選んでみるよ」といった態度で行かなくてはいけません。国内競争をしすぎて価格を下げるような状況は避けて、もう少し自信を持って契約を結んでほしいと思います。
Q. 関連事業をしている方々は教授の話を必ず聞くべきですね
A.はい、このような流れを私だけでなく研究する方は分かるのですが、私たちの言うことは聞きません。毎日仕事をしている人々はまたどこか投資する人々の話を聞く。実際に、世界の人々が何を好み、どんな欲望を持って何を見ているのか分かる、文化のことを研究している人々の話を聞くべきなのに、我々にはマイクが来ませんね。それだけ私が最近探してるから、こういう話をしてるんです。
もう一つは、ただ若い人たちを信じて、意識を合わせないといけません。なぜ上の人たち、自分たちが昔に考えたことを今もやろうとしてるのか分かりません。「イカゲーム」で有名になったファン·ドンヒョク監督は今50歳ですが、私が論文を書いて、若い博士でソウル大学に来て大学院授業をする時に私の授業を受けたそうです。私はおぼろげに記憶しています。その時、学生だったので。困難な状況で映画の仕事をした人で、成功し始めたのが「怪しい彼女」(ドラマ)ぐらいからです。他の監督の中にも、 そういう方々が多いと思います。
オックスフォード辞書のK-アップデート
Q.韓流がうまくいっていることを、最近、オックスフォードの辞書に「韓流(Hallyu)」という単語が載っているのを見て、実感しました。「モッパン」「漫画」みたいな単語も一緒に上がっていましたが、本当に興味深かったです。
A.そうですね。「モッパン(Mukbang)」という単語は、私が公式に初めて使ったと思います。その前は「Food Broadcasting」という単語をたくさん使いました。でも、私が「Mukbang」で調査をしてみたんですが、前例が一つもないんですよ。2015年に国際学会で関連研究を発表する際に「Mukbang」と書きました。(記者:面白い話ですね)そうですね。 研究者たちは、昔「情」という単語をどうやって使うのか、翻訳できないのですが、といった感じでしたが、現在は「情」「愛嬌」などすべて韓国語で扱います。(記者:「愛嬌」「ファイティン」も今回アップされましたね。)はい、面白いのは「トンチミ(大根の水キムチ)」がアップされたことです。誰が入れたのか分かりませんが、人類学者が入れようと言ったのではと思います。人類学者が韓国の田舎で現場研究をしたのではないでしょうか。田舎で食べてみた「トンチミ」がとてもおいしかったんでしょう。韓国人が話したら「トッポッキ」みたいな単語が入ってたと思うんだけど、多分ビッグデータを回して出てくるのを載せようって言ったんでしょう。オックスフォードでは人類学者たちがしたと思います。
*ちなみに、オックスフォード辞書に新たに掲載された韓国由来の単語は27個です。 韓流、Kドラマ、K- (接頭語)、韓服、漫画、モッパンなど韓国文化関連の単語と、韓国産コンテンツに多く登場する同時代言語が多数追加されました。 オッパ(お兄さん)、ヌナ・オンニ(お姉さん)、PCバン(インターネットカフェ)、テバッ(大ヒット、やばいなど)、エギョ(愛嬌)、キンパ(のり巻き)、カルビなどの単語はもちろん、「コングリッシュ(Ko-nglish)」と指摘されながらも韓国でよく使われる「ファイティン」と「スキンシップ」も加わりました。「コングリッシュ」という言葉自体も、以前追加されました。言語は絶対的なものではなく、その言語を使う大衆の習慣によって変化していくという事実、辺境言語だった韓国語の存在感が韓流のおかげで大きくなってきているという事実も実感できます。